極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
「私のことじゃないと思います。でもその話って、誰から聞いたんですか?」
清香さんのこともあるし、龍之介都のことを内緒にしているだけに「そうです」と言うわけにはいかない。
「なに、気になっちゃうわけ? アイツのことなんか好きになっちゃダメだよ。清香ともよりを戻そうとしてるみたいだし、俺のほうが将来有望、きっと君を幸せにできる」
そう言って少し離れた距離を、グッと詰めてきた。
この人はさっきから、何言っちゃってるの?
奥さんにならない? とか、君を幸せにできるとか?
そんなことできるわけ無いでしょ!! 私はあなたのことなんて、好きにならないってゆーのっ!!
「弘田さん、やっぱり飲み過ぎですよ。そういうの私、困りますからっ」
顔を笑みを見せず、本心から嫌だと伝わるように低い声で言い放つ。
でも弘田さんは、不気味なほどの笑顔を見せた。
「その強気、いつまで保っていられるかな」
なに、今の言葉? 怖い……。
彼の態度と言葉に怯んでいると、徐に立ち上がろうとした弘田さんが私の頬をスルッと撫でた。そして小さく笑うと、その場を離れていった。
嫌だっ、本当に気持ち悪いっ!!
撫でられた頬を押えすぐさま席を立つと、宴会場から一目散に飛び出した。
そのまま洗面所に駆け込み蛇口をひねると、勢い良く出てきた水でバシャバシャと顔を洗う。何度洗っても、さっき頬を撫でられた感触が取れない。
「もうっ、何なのよっ!!」
荒い手つきで蛇口を止めると、トイレの個室に入って鍵を閉めた。