極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
ドアノブに手をかけ、音を立てないようにゆっくりと回しかけたその時!!
「菜都先輩、待ってましたよぉ~」
勢い良くドアが開くと準備万端の未歩ちゃんが、ニヤリと恐ろしいほどの笑みを浮かべて立っていて。
それから小一時間、彼女に尋問を受けたのは言うまでもなくて……。
ほとほと疲れて朝食会場に足を踏み入れれば、そこにはいつもと変わらぬ同僚や上司の面々が楽しそうに朝のひとときを過ごしていた。
私はてっきり、昨晩のことを聞かれると思って身構えていたというのに。
「おっ、なっちゃんおはようさん。昨日は大変だったなぁ、ご苦労さん」
配送主任の宮本さんにそう声を掛けられて、ポカンと口を開けて立ち止まってしまう。
昨日は大変だったなぁ……。それって何? 昨晩のことを何か知っているの?
弘田さんのこと? それとも……。
龍之介の姿を探しても、まだ寝てるのかどこにも見当たらなくて。
ひとりなんて答えればいいのかアタフタしていると、拓海くんが近づいてきた。
「菜都さん、おはよう。昨晩、弘田さんを駅まで送ったんだって?」
「え、駅? 私が弘田さんを?」
「あれ? 調子が悪くなった弘田さんを菜都さんが見つけて病院に連れて行ってから、先に帰ることになった弘田さんを堤所長と駅まで送ったんじゃないの?」
そこまで聞いて、やっと事の次第を理解した。