極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
そんな龍之介の身勝手な行動で、その後の大広間はてんやわんや大騒ぎ。
それを沈めてくれたのも、清香さんで……。
* * *
やっぱり彼女には、頭が上がらない。
彼女には、後日龍之介と一緒に会うことになっている。
清香さんと龍之介の話ももう少し詳しく聞きたいし、彼女の今後のことも気になるしね。
本社の人たちとあいさつを終えた龍之介が、清香さんに気がついて彼女に近づいた。
ふたりの間には何もない。そうわかっているのに、ふたりが並ぶ姿があまりにも似合いすぎて胸がズキンと痛む。
清香さんに好きな人がいなかったら、龍之介と清香さんは付き合っていたのかな……。
そんな思いが私の心の中を支配すると、二人の姿を見ていられなくなって目をそらした。
「おいっ、菜都ちょっと来い!!」
まさか呼ばれるなんて思ってなくて、反射的に身体が跳ねる。
今は近くに行きたくないんだけど……。
それでも龍之介に逆らうことなんてできなくて、渋々ながら足を進めた。
「何ノソノソしてんだよ。って言うかお前、また何か余計なこと考えてたとか?」
ギクッ!! なんでバレてるのっ!!
でも「はい、そうです」なんて言えるわけなくて俯いていると、清香さんがクスクスと笑い出した。
「もう龍之介さんったら。女の子には、ううん、好きな女の子にはもっと気を使ってあげるべきよ。女はね、どんな些細な事でも好きな人のこととなると、心配でたまらなくなるんだから」
その言葉に顔を上げると、「あっ。でも今その原因を作ってるのは私かっ」なんておどけてみせる清香さん。
やっぱり彼女には敵わない。
「菜都さん、今回はいろいろごめんなさいね。龍之介さんとお幸せに」
いつもの素敵なウインクをしてみせると、清香さんはバスの中へと戻っていった。