極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
弘田さんが何を話したのかはわからない。
何も悪くない龍之介のことを心配する必要もないのに、何故か彼のことが気になってしょうがなくて。
それでもこんな時こそ仕事にミスは許されないと、徐々に集中力を高めていった。
「なっちゃん。堤所長、今日は戻って来るかい?」
配送主任の宮本さんが、事務所へと入ってきた。
「はい。時間はわからないですけど」
笑顔でそう言ったつもりだったけれど、どうもうまく笑えてなかったみたい。
怪訝な顔をした宮本さんが近づいてきて、私の眉間へと指を伸ばした。
「なっちゃん。なっちゃんの良い所は、いつも元気で笑顔が素敵ところ。ここの営業所のみんな、なっちゃんの笑顔に癒やされてるんだよ」
「宮本さん……」
「なっちゃんにこんな顔をさせるなんて、彼もまだまだだなぁ~」
「み、宮本さんっ、何言ってるんですかっ!? 龍之介は何も関係なくて……」
「へぇ~龍之介ねぇ~。僕は堤所長の名前なんて出してないけど?」
「あっ……」
やられた……。
ジロッと宮本さんを見れば、満面のしたり顔。
「何があったのかはわからないけれど、堤所長なら大丈夫。笑顔で待ってればいいさ」
そう言って私の肩をバシバシと叩くと、大声で笑いながら倉庫へと戻っていった。
そうだよね。ここで私がひとりいろいろ考えていたって、何か事態が変わるわけじゃない。
だったら宮本さんの言う通り、いつもどおりの元気な私で入るべきだよね。
そのことがわかると自然と気分が入れ替わり、普段よりもスムーズに仕事が進んでいった。