極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

どうして拓海くんが私の答えを期待するのか分からないけれど、その期待には応えられない。


だって私は……。


「特にここで答える必要がないと思ったから、何も答えてないよ」


「そっか」


そう言って一瞬でいつもの人懐っこい顔に戻すと、残っていたビールを飲んだ。


何だったの、さっきの表情は?
あまりの違いように拍子抜けだけど、私は今目の前で笑顔を見せてくれている拓海くんの方がいい。


「さっきトイレ行く時に重さんにあったんだけど、最近菜都さんが来てくれないってボヤいてたよ」


「最近って。先週顔出したのに……」


今日の会場『居酒屋 十六夜』の大将、大村重樹。通称、重さん。
私の行きつけの店で、重さんは良き相談相手だ。


恋愛ドラマに憧れる私としては、お洒落なバーなんかを行きつけの店にしたいところなんだけど……。何せここは、都会から少し離れた郊外の街。スナックはあっても、お洒落なバーは無い。

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