極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
テレビ画面が一番好きなシーンに差し掛かると、テレビの前の場所を陣取り息を呑む。
まだ誰もいない事務所でひとり、主人公が主任のデスクを丁寧に拭いていると、いつもは早い時間に出社しない主任がフロアに入ってきた。
まさか主任が来るとは思っていない主人公は、言葉なくその場に立ち尽くす。
『お前がいつも、俺のデスクを綺麗にしてくれていたのか?』
主任の驚いたような言葉に、黙って小さく頷く主人公。私も一緒に頷く。
ゆっくり近づいてくる主任。その姿から目が離せない主人公。二人の距離がだんだんと近づき、ほとんど距離がなくなると、主人公が恥ずかしさから顔を背ける。すると主任の手が動き出し主人公の頬に当てると、グッと正面を向かせた。
『どういう理由で綺麗に?』
『それは……』
口籠る主人公。
「なんて、いじらしいのぉ~」
ついつい声を発してしまう。