極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
4 気づいてほしくて・・・
歓送迎会の日から二週間。
堤新所長に変わった新体制での旭営業所も、徐々に落ち着き始めていた。
松浦所長の時とは違った意味で、仕事のしやすい活気ある職場になっている。
私と堤所長の関係はと言うと……。
あの歓送迎会の時の態度は一体何だったの? というくらい何の進展もなく、ただ普通に穏やかな毎日を過ごしていた。
とは言っても穏やかなのは“表面的”にだけ。
私の心の中は、堤所長が席を立つ度にドキンッと跳ね。電話で話している声を聞くだけで、耳元で囁かれた感覚を思い出し身体が熱くなる。
ずっと波立ってばかりで、落ち着いて仕事ができる状態ではなかった。
「菜都せんぱ~い。ここ間違ってますよぉ~」
相変わらずの甘ったるい声で、未歩ちゃんが私のミスを指摘した。その紙を受け取り、確認をする。
「あ、本当だ。ごめん、すぐに作り直すよ」
「いいですよぉ~。なんか先輩、心ここにあらずって感じですし~」
口を尖らせて私から紙を奪うと、手早く処理を始めた。