極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
ヤバいっ。未歩ちゃんにまで様子がおかしいのバレてるって、私どんだけぼんやりしてたんだろう……。
と言うことは、堤所長にも気づかれちゃってるっ?
デスクで仕事をしているふりをしながら、ゆっくり顔を動かし所長を見る。
あれ? いない。トイレにでも行ったかな?
顔を上げ、トイレや倉庫への出入り口がある方をキョロキョロと見ていると、歓送迎会の時と同じように、肩をとんとんっと叩かれた。
もしかして、堤所長? いやこれは、絶対に所長だっ!!
確信を持って、力いっぱい振り向くと……。
「痛ーいっ!!!」
頬に何かが突き刺さり、そこを押さえながら顔をしかめた。
「菜都さん、大丈夫ですか? ちょっとイタズラしようと思ったんですけど、まさかそんな勢い良く振り向くとは思わなくて」
あぁ~、やっぱり堤所長だっ!! 菜都、大正解っ!!
痛みを堪えながら、左手でガッツポーズ!
それも頬に刺さったのは人差し指! なんてお茶目なイタズラをするのっ。もうっ可愛いっ!!
でもまだ頬に残る痛みと恥ずかしさで、しかめた目を開けられずにいると、堤所長が頬に当てている私の手に自分の手を重ねた。