極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
動き出しそうになった身体を必死に支え、椅子に座り直す。
だったら、あの何かを期待させるようなあの間はなんだったのよっ!! もったいつけるだけつけて、ミスの注意をするなんてっ!!
堤所長の、いけずっ!!
堤所長の方を向けば、当の本人はもう自分のデスクに戻ってしまっていた。
もうこれじゃあ、いつまで経っても私の心は落ち着きを取り戻せないじゃないっ!!
モヤモヤした気持ちのままデスクに目を戻すと、未歩ちゃんからどっさりの出荷伝票が回ってきていた。
「菜都先輩~。ちゃんと仕事しないと、また所長に怒られますよぉ~」
「わ、わかってるよ」
2歳年下でこんな喋り方だけど、未歩ちゃん、あんたは侮れない相手。
もしかして、私の気持ちを見透かしているとか?
そっと未歩ちゃんの顔を覗きみると、それに気づいた彼女がパチンッと可愛いウインクをした。
うっ、やっぱり気づいてるね、その顔はっ!!
顔を引き攣らせながら唇に人差し指を当て『黙ってて』とジェスチャーで伝えると、未歩ちゃんが親指を立てて『わかった』と返してきた。
未歩ちゃん、ホントに大丈夫かなぁ。お姉さんは、とっても不安です。