極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
ふぅ~と息を吐くと、未歩ちゃんが呆れた顔をして私を見ているのに気づいた。
バッチリ目が合い、バカなことを考えている自分が急に恥ずかしくなって俯くと、小会議室のドアをコンコンと叩く音がした。
慌てて顔を上げ入口の方を見ると、険しい顔をした堤所長が立っている。
「カンナ水道から、昨日注文受けたのは誰?」
初めて聞く堤所長の真剣で少し怖い声を耳にして、緊張が身体に走る。
カンナ水道? あっ、思い出したっ。トイレに行こうとした時に電話が鳴って、我慢しながら取った電話。あれは確か、カンナ水道さんだったはず。
「それ、たぶん私だと思います」
「たぶんって、どういうこと?」
「それは……」
トイレを我慢してて、よく覚えてません……なんて、堤所長の前で恥ずかしくて言えないっ。
どう答えていいかすぐに考えつかなくて俯くと、「ちょっと僕のデスクまで来てっ」と強い口調で言われ、身体がビクッと震えた。
足早にデスクまで戻る堤所長について行くと、未歩ちゃんも心配そうに私の後を追ってきた。