極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
「この伝票を書いたのは菜都さん? 記入者名がないんだけどっ」
私の態度にイライラしているのか、堤所長が声を少し荒げた。また身体が小さく震えた。
「は、はい……」
「カンナ水道の社長、ボルド管の100って頼んだのに、75が置いてあるってどういうことだっ!! ってえらく怒っていてね。君の書いたこの伝票、確かに75と書いてある。聞き間違えたのか?」
確かに焦っていて殴り書きで書いた字は汚いけれど、100を75と聞き間違えるはずはない。あの時社長は、間違いなく75と言った。私はそれを伝票に書いただけ。
「カンナ水道の社長、間違えなく75って言いましたけ……」
「言い訳はいいっ!! きみはさっき、僕がカンナ水道の注文を受けたのは誰? と聞いた時、“たぶん私”と言ったよね? たぶんなんて言う人間が、自分は間違ってないって言い切れるのかっ!!」
「それは……」
堤所長の言うことは間違っていないかもしれない。でもそんな一方的に怒鳴って、私が間違ってるみたいな言い方しなくてもいいのに……。
堤所長が私のことを信じてくれないことが悔しくて、唇を噛み締めて俯くと、事務所のドアが開いて誰かが入ってきた。