極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

「只今、戻りました~。あぁ~お腹減った~」


呑気なその声で、顔を見なくても拓海くんだと分かる。でも今はそんな拓海くんに付き合って、いつもみたいにからかって話す状況じゃない。


誰も拓海くんに向かって話さないのをおかしいと気づいたのか、拓海くんが近寄ってきた。


「何かあったんっすか?」


「あぁ。今日カンナ水道の現場に材料を届けたのは、西野くんだったね?」


「はい、そうですけど。それが何か?」


「悪いが、急いでもう一度現場に走ってくれないか?」


そう言うと堤所長は立ち上がり、椅子に掛けてあった背広を羽織った。


「ボルド管、75じゃなくて100なんだそうだ。菜都さんが聞き間違えたみたいで」


「えっ? そうなの? 菜都さんが聞き間違えるなんて、今まで一度もなかったよね? カンナ水道の社長、いつもみたいに自分が間違えたんじゃないの?」


噛み締めていた唇を離し顔を上げ、拓海くんのことを見る。堤所長と違い、私のことを庇ってくれる拓海くんに、嬉しさが込み上げてくる。


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