極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
「堤……所長?」
「やっぱり菜都さん。こんなとこで何やってるんですかっ!!」
そう言って自分の上着を脱ぐと、私の身体に頭からすっぽり被せた。
こ、こ、これって、もしかしてっ!!
さっき妄想していたのと同じ展開!!
ど、ど、どうするのぉ~、菜都っ!!
まさか車から堤所長が降りてくるなんて、これっぽっちも考えていなくて、動揺が隠し切れない。
肩に触れている手にドキドキしているからか、雨に濡れて冷えているからなのか、身体の震えが止まらない。
ずぶ濡れで化粧もとれて見苦しいだろう顔のまま、堤所長の顔を見上げる。この雨の中、傘なしで立っていて、堤所長もスッカリずぶ濡れ。
いつもはきちんと整えてある短めの髪は雨のせいで見る影もなく、毛先からぽたぽたと雫が滴り落ちていた。それはまさしく……
水も滴る、いい男───
イエスッ!! 完成だっ!!
な、なんて、こんな時に私はいったい何を考えてんのっ。頭を濡れた犬よろしく、ぶるぶるぶるっと振る。しかしこの雨だ、多少振ったって何も変わらないわけで……。
もう一度、上目遣いで堤所長見てみれば、その顔は明らかに怒っていた。