極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
すると後ろから、想像を絶するような言葉が私の耳に届いた。
「おいっ、バカ菜都っ!! これ以上俺を怒らすと、あとで痛い目見るぞっ!!」
えっ? 今の声って、間違いなく堤所長だよね。だけど“バカ菜都”なんて、言葉遣いが非常に悪いと感じたのは私だけ?
それも“僕”じゃなくて“俺”だし、痛い目ってどんな目ですか?
恐る恐る振り返ると、鬼の形相でズンズンと近づいてくる堤所長と目が合った。
その迫力は凄まじいものがあり、思わず尻込みしてしまった。
「おいっ、さっき言った言葉、聞こえなかったのかっ!! そこでジッとしてろっ!!」
「は、はいっ!!」
まるで鬼教官にでも怒られたかのように、ビシッとその場に立つと、ギュッと目を瞑って堤所長が近づくのを待った。
「っとに、手間かけさせやがって」
あれ? ちょっと優しい声? 鬼の形相とは似つかわない声にそろりと目を開ける。すると堤所長は、『待ってましたっ!!』と言わんばかりに、ニヤリと右の口角を上げて笑った。
「行くぞ」
へっ? どこへ?
そう聞く間もなく堤所長に肩を抱かれると、もう片方の手を膝裏に差し込まれ、軽々と抱き上げられてしまった。