極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
こ、これは、世に聞く“お姫様抱っこ”と言うやつではないかっ!!
や、ヤバいっ!! 興奮して、鼻血が出そう……。
それにこんなずぶ濡れ状態。よく見たら白いTシャツは濡れてスケスケで、ベージュの何の色気もないブラジャーが丸見えじゃんっ!!
まぁここで、色気は必要ないけれど……。
ロマンチックでもなんでもない“お姫様抱っこ”に恥ずかしくなると、両手で胸元を隠した。
「なぁ、首に掴まってくれないと、抱きにくいんだけど」
そう言って首を出す堤所長。
無理でしょっ!! そんな自分から密着しちゃうような恰好、できるわけないじゃんっ!!
ブンブンブンッとおもいっきり頭を振ると、またもや失礼千万な言葉が頭上から落とされた。
「そんな貧相な胸、隠したってしょうがないと思うんだけど」
な、な、なんだとぉ~っ!! 見たこともないくせに、言いたいこと言ってくれちゃってっ!!
頭にきたから思わず「Eカップですっ!!」とムキになって言ったら、「はいはい」と軽くあしらわれてしまった。
本当にこの人は、会社の時に見せる、あの笑顔が素敵な堤所長と同じ人?
敗北を認め身体の力を抜くと、泣く泣く首に腕を巻き付けた。