極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~


父親がプレゼントしてくれたオレンジ色の自転車に跨り、マンション前の長い坂をフルスピードで下る。風を切る快感とスリルがたまらない。


今日も天気は良いが、照りつける日差しがいつもより幾分柔らかい感じがして、気持ちがいい。


大通りまで下り終わると、いつも通り毎朝寄るコンビニに自転車を止めた。中に入ると、いつも通り“メロンパンと牛乳”を手にとってレジの前に立つ。


「おはようございます。菜都さん、今日も変わらずですね~」


顔馴染みのアルバイト店員の晴也くんが、レジを操作しながら笑った。


「かれこれ半年? 自分でも、よく飽きないなと思うよ」


フッと苦笑して見せると、晴也くんが一枚の広告を私に手渡した。何で今広告? 意味が分からなくて彼の顔を伺うと、一部分を指さした。


「来週この店、オープン2周年記念のイベントをするんだけど、買い物してくれたお客さん全員に、新作のパンをプレゼントするんだ。その引換券持ってくるとパックジュースももらえるし、朝ごはん一食浮くでしょ?」


「晴也くん……」


まだ20歳だというのに、なんて気の利く子なのかしら。晴也くんを手招きすると、その頭をクシャクシャッと撫でた。








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