極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
5 そんなのって、アリですかっ!?
黙って大人しく髪を拭かれていると、手を止めた堤所長がタオルを私に手渡した。
「俺の頭も拭けよ」
はぁ? オレノアタマモフケヨ? それって何語ですか?
……って、日本語だよっ!!
一人ボケツッコミも終わり、ポカンと口を開けていると、ピンッとおでこを弾かれた。
「何ボケッとしてんのっ。早くしろっ!!」
デコピンしたうえに、早くしろって命令? 信じられないっ!!
でも相手は上司。それも我が営業所で一番偉い人。
おでこを擦るのを止めて渋々頭に手を伸ばすと、堤所長が身体を私の方に少し傾けた。
たったそれだけの行為に、ドキドキと鼓動が速まる。堤所長から微かに香るワックスの匂いが、私の身体に男の人を意識させた。
もうっ、どうにでもなれっ!!
目を瞑り、バサバサと堤所長の頭を拭く。何も考えないで、ただがむしゃらに拭いていたら、その手首をガシッと掴まれた。
「もういい、帰るぞ」
荒い手つきでタオルを私から取り上げると後部座席に投げ、慌てて車を走らせた。