極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~
「じゃねっ」と晴也くんに軽く手を上げコンビニを後にすると、自転車を押しながら近くの公園まで向かう。そこの藤棚の下のベンチに座り、大通りの南側を走る電車を見ながらメロンパンを食べる。
これも私の、大切な日課。
梅雨も終わったからか、そよそよとふく風が、爽やかに頬を撫でていく。こんな何気ない時間が、私の心を穏やかなものにしてくれていた。
正直、26にもなった女が何でこんなところで、一人寂しくメロンパンをかじってなきゃいけないんだと想う時もある。
彼氏でもいればなぁ……。
朝目覚めると隣に彼が寝ていて、甘いキスで“おはよう”のあいさつをする。少し開いていた窓からは、ふわっと風が入り、真っ白なレースのカーテンを揺らしていた。私が作った朝食を一緒に食べ、一緒に家を出ると、鮮やかなブルーのスポーツワゴンで会社まで送ってもらう。そして別れ際に、もう一度キス……。
な~んて、ドラマみたいに、朝から甘いシチュエーションを堪能できるんだろうけど。
はぁ……。こんなことばっかり考えてるから、彼氏できないんだな。私って。