みるきぃ★ファームへようこそ
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のどかな晴天。その元には今にも崩れるんじゃぁ無いかと思われる様なおんぼろの掘立小屋。更にその前にはバス停を示す「ミルキーファーム前」と書かれた看板。
リンダと南は、その看板の前で立ち尽くします。
「一日一往復だから乗り遅れたら帰れなくなるんだからね……」
「ああ、そうかい」
二人は隣の太陽系迄、買い物に行く事になったのです。
南の食料が尽きてしまったのと、農場で使う雑貨の買い出しです。
普段はリンダ一人で出掛けるのですが、メイおじさんの言い付けで、二人で出掛ける事になったのです。
リンダは買い出しのリストに書かれたメモ用紙をオーバーオールの大きな胸ポケットから取り出して、何をどう言う順で買い付けるか作戦を練ります。
「ここから、どれ位、掛かるんだ?」
南は相変わらずリンダと視線を会わせようとしません。独り言を呟く様にリンダにそう尋ねます。
「う…ん2時間位、かな。道が混んで無けりゃの話だけど」
「そうか……」
話が続きません。
まぁ、リンダも南も今の処、積極的に話そうと言う気は有りませんので、しょうがないと言えばしょうがないのですけれども。
雲はのんびりと流れます……定刻の筈なのにバスは来る気配が有りません……小鳥が飛んでいます。遥か彼方の山脈も雪を抱いて白く光っています。