第一話 縁結び神社
そうなると、亜希美の携帯は単なる充電切れか、本当に電波の届かない場所に遊びにでも行っているのか。そんな事を考えたら、少しだけ冷静さが戻ったように感じ、胸を軽く擦っては深く空気を吸って吐いた。 駐車場の車に戻り、キ―を差し込んで回す。エンジンが掛かるとギアをドライブへと入れたが、バッグの中の携帯の呼び出し音が鳴り、ギアをニュートラルへと戻した。
バッグを開き携帯を取り出す。送信者の名前は亜希美だった。やっぱり私は騙されたみたいだ。苦笑いと共に受信ボタンを押した。
「はい」
「・・・・」
無言だった。私は、続けざまに「もしもし」と繰り返した。
「急いでATMから金を降ろせ。ありったけの金、全てだ」
「えっ、誰?」
「誰でもいい。警察や他の人間に連絡でもしたら、この女の命は保証しないからな。いいか、今すぐに金を降ろして折り返し電話をしろ」
電話は切れた。すぐにもう一度掛けようとしたが、勇気が出なかった。
私は、車の中で事の次第を整理した。先ず、亜希美の電話が通じなかった。そして、近い所で人を刺す事件が発生し、犯人は捕まっていない。容疑者は男性。それから一時間後に亜希美の携帯から電話が掛かってきた。声は男性である。
バッグを開き携帯を取り出す。送信者の名前は亜希美だった。やっぱり私は騙されたみたいだ。苦笑いと共に受信ボタンを押した。
「はい」
「・・・・」
無言だった。私は、続けざまに「もしもし」と繰り返した。
「急いでATMから金を降ろせ。ありったけの金、全てだ」
「えっ、誰?」
「誰でもいい。警察や他の人間に連絡でもしたら、この女の命は保証しないからな。いいか、今すぐに金を降ろして折り返し電話をしろ」
電話は切れた。すぐにもう一度掛けようとしたが、勇気が出なかった。
私は、車の中で事の次第を整理した。先ず、亜希美の電話が通じなかった。そして、近い所で人を刺す事件が発生し、犯人は捕まっていない。容疑者は男性。それから一時間後に亜希美の携帯から電話が掛かってきた。声は男性である。