『一生のお願い、聞いてよ。』
プルルルル…プルルルル…
『…もしもし?』
「もしもし、先生?りょうだけど」
先生『おー、どうした?今日はゆっくり休め』
「先生、あたし勇治と別れた」
先生『え?フラレた?』
「ううん、ふった」
先生『なんで?あんなに悩んでたじゃん』
「分かんないけど、でも、勇治にも、分かったって言われちゃったから」
先生『そっか…大丈夫か?』
「うん、先生、仕事やめたんでしょ?」
先生『ん?うん、それがどうかした?』
「家庭教師してよ、あたしの」
先生『家庭教師?』
「勉強教えて。それで、K高に合格して、勇治と塾長を見返す」
先生『おお(笑)それなら協力するよ(笑)』
「なら、明日の12時にこの前のファミレスで待ち合わせ!お母さんも連れていくから、給料とか、時間とかそこで決めよ!」
先生『おー、分かった(笑)でも、明日月曜だぞ?学校は?』
「学校は行かない。だから、先生勉強教えて」
先生『いや、学校は行けよ?』
「んー、分かった。でも、明日だけ。」
先生『はいはい(笑)』
先生は呆れたように笑った。
思い付きで家庭教師とか、見返すとか言ったけど、お母さんにも何も話してないし、K高に受かるなんて正直無理な話。
でも、言っちゃったもんは仕方がない。
実行すれば、嘘じゃなくなる。
早速お母さんに、塾をクビになって見返したいと伝え、家庭教師の提案をすると、すんなりOKしてくれた。
12時は仕事の昼休みらしく、来れるみたいだから、良かった。
早く明日にならないかなと思った。
大好きな勇治。
大好きだった勇治。
まだ、あたしは諦めてないよ。
いつか戻れるって信じてる。
だから、今はさよなら。
さよなら、勇治。
さよなら、大好きな勇治。
さよなら、あたしの初めての幸せ。