『一生のお願い、聞いてよ。』

先生がキョロキョロと部屋を見渡す。


「そんな見ないでよ」

先生『わりい(笑)若い女の部屋とか入ることとかねぇから物珍しくて(笑)』

「変態おやじ!」

先生『うるせえ(笑)変態でもねぇしおやじでもねぇわ(笑)いや、おやじか(笑)』

「ばかじゃん(笑)」



先生ははっはっはっと豪快に笑った。


「で、話って何?」

先生『聖人のことだけど』

「まさと?誰それ」

先生『お前と同じ時間に来てた生徒』

「ふーん、その子がどうしたの?」



先生は、ほい、と封筒を渡した。



先生『聖人が、お前に渡してほしいって』

「は?知らない人から手紙?」


正直顔も分からない。


先生から手紙を受け取った。



手紙を開けると、小さな紙が一枚だけ入ってた。




<原中さんへ。佐伯先生から聞きました。塾、辞めたんだね。僕はずっと原中さんを見てました。ずっと、勉強に集中できませんでした。家でも、ずっと原中さんのことが頭から離れません。できれば、連絡下さい。masa-h.r-love......聖人>




ゾクッとした。



ずっと見てたって何?

アドレスのh.rって、原中りょう?

あたし?


怖い





体が一瞬震えた。




先生『どうした?』

「きもい」

先生『ひでえな(笑)』

「聖人ってどんな人?」

先生『んー、いつもぼーっとしてる。メガネかけた痩せた大人しそうな子だよ』



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