『一生のお願い、聞いてよ。』

メイクが終わって、クローゼットから服を選んだ。


「ねぇ先生!こっちとこっち、どっちが可愛い?」

先生『どっちでもいいわ(笑)』

「もう!じゃあ、こっちにしよー」


先生は眉を少し下げて困ったように笑った。



「着替えるからあっち向いてて!」

先生『はいはい』



先生はあたしに背を向けた。



バタバタ着替えて、先生の背中を見た。



大きくて、がっしりとした肩、逆三角形てこういうことかって思った。


勇治とは違う背中。


自然と勇治を思い出して涙が出そうになったのを堪えて、もういいよーと笑って先生に言った。


あたしと先生は、先生の車に乗った。



先生『何すんの?』

「んー、カラオケ行こうよ!」

先生『カラオケかー、おっさんと行って楽しいか?(笑)』

「いいの!(笑)」



先生の歌う曲が古くて分かんない!って、下手くそ!ってからかって、やるつもり。



ワクワクした。



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