『一生のお願い、聞いてよ。』

ドアに手をかけた。


その時、後ろから名前を呼ばれた。



『りょうちゃん!』


振り返ると、結羽ちゃんがいた。



「あ、結羽ちゃん」

結羽ちゃん『昨日学校来なかったけどどうしたの?体調悪かった?』

「ん、いや、大丈夫」



結羽ちゃんは小さい頃からの幼馴染み。

ぽっちゃりとまではいかないけど、少しふっくらしてて、女の子らしい子。

最初からほんとのあたしを知っていたのも結羽ちゃんだけだった。

塾も、結羽ちゃんが行ってる同じところに行った。


結羽ちゃん『大丈夫ならよかったー!寝坊して遅刻しちゃった(笑)』

「そうなんだ(笑)」

結羽ちゃん『ちょうどよかった!1時間目、あと20分くらいで終わるし、一緒にサボろう!話したいこともあるの!』

「あぁ、うん、わかった!」



救われた気分だった。




あたしと結羽ちゃんは、鍵が閉められて入れない屋上のドアの前の階段に座った。


「話って?」

結羽ちゃん『塾にさー、質問ノートあるじゃん?』

「質問ノート?何それ?」

結羽ちゃん『知らないの?みんなが匿名で色んな質問とか書けるノートだよ』

「そんなのあったんだー」

結羽ちゃん『うん、みんなが見るノート、先生も生徒もみーんな見て色んなこと書くんだけどさ』

「それがどうしたの?」

結羽ちゃん『この前、あたし質問書いたの』

「なんて?」

結羽ちゃん『好きな人がいるけど、どうやって気持ち伝えたらいいか分かんないって』

「おー、そんな質問もしていいんだ!」

結羽ちゃん『勉強の質問とかはみんな直接聞きに行くから、そういう匿名だから聞ける質問とか、そんなのばっかだよ』

「そうなんだ!それで?!」

結羽ちゃん『それでさ…』



結羽ちゃんが震えだした。



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