『一生のお願い、聞いてよ。』
「………」
勇治『と、とりあえず立てるか?』
勇治が優しくあたしを立ち上げさせる。
先生よりも小さな手の勇治。
先生を思い出してまた涙が出る。
勇治『りょう?何があった?話せる?』
「彼氏に…」
勇治『彼氏…』
「彼氏に…家族があった…」
勇治『え?』
「結婚してた…知らなかった…」
勇治『結婚ってお前…』
意味が分からないと言った顔の勇治を見て、家に帰ろうと思った。
勇治は何も言わずにあたしについてきた。
無言のまま歩いていると、雨が降ってきた。
でも、もうすぐ家だから、あたしはそのまま家まで歩いた。
勇治も黙って雨に濡れながらついてきた。
家について、ポストを開けると、コンビニの袋があった。
コンビニの袋は雨に濡れていた。
中は、いつもとは違うペットボトルの紅茶花伝と、レシート。
レシートは、紅茶花伝とりょうくんが吸っているタバコを買ったレシート。
文字は何も書かれていない。
他の手紙類は濡れていなかった。
コンビニの袋が雨で濡れてるってことは、雨が降りだしてから来たってこと?
じゃあ、まだすぐ近くにいるはず!
あたしは慌てて走り出した。
勇治は、え?!なに?!とあたしについてきた。
コンビニの袋を持って走っていると、金髪の男の後ろ姿が見えた。
「りょうくん!!!!!」
その人は、振り返った。