『一生のお願い、聞いてよ。』


「あたしがあの時八つ当たりしちゃったのは、塾をクビになったの。」

勇治『は?クビ?』

「そう。成績上がらなくて、このままじゃK高落ちるから、塾の評判下がるからやめてくれって。」

勇治『なんだよそれ?!』


あたしはイライラを紛らす為にタバコに火をつけた。


「それで、イライラしてる時に勇治に会って、元から頭いい勇治のことずるいって思って、八つ当たりしてしまった。他に好きな人なんて、できてなかった。真央に騙されたんだよ。勇治は。」

勇治『騙されたって……』

「そのあと、勇治と別れた傷を癒してくれたのがさっき言った元カレ。ずっと一緒にいてくれて、勇治のことをいつの間にか忘れれてた。どんどん好きになってさっき、結婚してること知って別れたばっかり」


りょうくん『ちょちょちょちょ』


「なに?」


りょうくん『結婚してるって、なに?』


「知らずに付き合って、さっき相手は車ですれ違ったの。奥さんと息子乗せてた。」


りょうくん『ま、待てよ。それ奥さんと息子ってなんでわかんの?』


「え?」


りょうくん『一緒に乗ってようがなんだろうが、そいつから直接聞いたわけじゃねえんだろ?』


「まぁ、そうだけど…」


りょうくん『親戚とかかもしんねえよ?』




そう言われてみればそうだ。


まだ先生から返事は来ない。

できれば、結婚してないよって、言ってほしい。


りょうだけだよって、言ってほしい。



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