『一生のお願い、聞いてよ。』
りょうくんの言葉の理解に苦しんだ。
全く分からない。
突き放したのはりょうくんだよ。
あたしじゃない。
りょうくんが………
りょうくん『連絡くれって言ったのに、連絡くれなかったのはお前だろ。来るなってことだろ。』
りょうくんは、冷たい目であたしを見つめていた。
意味が分からなかった。
連絡くれなんて言われてない。
レシートにもそんな言葉はなかった。
りょうくん『連絡こなかったからもう行かない方がりょうの為だって思って行かなかったんだろ』
「待って」
りょうくん『なんだよ』
「分からない」
りょうくん『なにが』
「…分からない…」
りょうくん『だからなにがだよ』
「連絡くれなんて言われてない!レシートにもそんなこと書いてなかった!もう来ないって、それしか書いてなかった!」
クローゼットから白い恋人の缶を取り出して、レシートを見せた。
りょうくん『もう一枚は』
「もう一枚?」
りょうくん『俺、二枚入れてただろ』
「あ…」
そう言えば、あのとき、一枚溝に落ちたんだ。
あれに、書いてたの…?
りょうくん『もしかして見てねえの?』
「…………」
りょうくん『もう一枚に、もしりょうが辛くないなら、また来てもいいって言うならメールちょうだいって書いてアドレス書いてたんだけど』
何も知らなくて、そんな大事なものを、溝に落としちゃうなんて。
もしあの時レシートをちゃんと見れてたら。
もしあの時すぐに拾えてたら。
メールしてたら…
色々考えると、涙が出てきた。
りょうくんを失ったのは、あたしのせいなんだ。
まばたきも忘れ、ただ涙が頬を伝う。
りょうくん『りょう、もし、見てないなら見てないって言って。見てたけど、メールくれなかったなら、りょうを傷付けたくないから、もう帰るよ。二度とりょうのとこには来ない。でも、もしそうじゃないなら、もう一回、友達になってほしい。』
りょうくんの言葉がもっと涙ん溢れさせる。
りょうくん『…今日、ここに来たのは、りょうのこと忘れられなかった。心配で心配で、りょうに会いたくて、でも突き放されたらって思うと会う勇気もなくて、紅茶花伝だけ置いた。まさか追いかけてくるとは思わなかったけど』
涙で前が見えなくて、座り込んだ瞬間、メールがきた。
涙を脱ぐってメールを開くと、先生からだった。
<ごめん。結婚もしてるし、お前と同じ歳の息子もいる。嘘ついててごめんな。ご両親には俺からもちゃんと言っとくから。>
先生からのメールを見て、声を上げてまた泣いた。
りょうくんはあたしからケータイを取り上げ、メールを見てあたしを強く抱き締めた。
りょうくん『俺にしとけよ』