『一生のお願い、聞いてよ。』


りょうくんはあたしをさらに強く抱き締めた。


あたしもりょうくんの背中に手を回し、ぎゅっと抱き締めた。



あたしはりょうくんに連れられて、ベッドに寝かされた。



そのまま、唇を重ね、体を重ねた。


なんとなく、愛が感じられなかった。


それは、あたしの気持ちの問題だと、気にしなかった。



りょうくんが果てた後、二人でタバコを吸って顔を見合せ笑った。


りょうくん『りょう、好きだよ』

「あたしも、前から好きだったよ」

唇を重ね、手を繋いだ。


りょうくん『俺がりょうを守るからね』

「ありがとう」


りょうくんは優しく微笑んだ。



「ねぇ、りょうくん」

りょうくん『なに?』

「大阪の大学に行ったんじゃないの?」

りょうくん『うん』

「え?うんって、なんでいるの?」

りょうくん『夏休みで帰ってきた』

「あ、なるほど」

りょうくん『そうだよ(笑)』

「じゃあ、遠距離なんだ…」


遠距離は初めてで、すごく不安になった。



りょうくん『不安?』

「うん…少し」

りょうくん『浮気なんかしないよ?』

「………」


ついさっきまで先生の浮気相手だったあたしは、何も答えられなかった。


りょうくん『りょう、信じて』


りょうくんが強くあたしの手を握って、少し気が楽になった。



その日、りょうくんは家に泊まった。


あたしが眠るまで、ずっと大学での話をたくさん聞かせてくれた。


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