『一生のお願い、聞いてよ。』
(え、青アザは目立たなくなってるんだけど…気付かれたかな…)
傷が気になって部屋にずっと引きこもっていて、飲み物を飲む時も、お母さんとお父さんが仕事に行ったあとに台所に行っていた。
お風呂もお母さんたちが寝たあとに入って、顔を合わせなくて心配したお母さんが部屋に来たときも、体調が悪いと言って嘘をついてお母さんに背を向けてベッドに横になっていた。
久しぶりにお母さんの顔見た気がする。
たった何日かなのに。
アザ、バレたかな…
「ちょっと、ベッドから落ちちゃって(笑)」
『顔のアザ?』
「うん」
『そっか、大丈夫?』
「大丈夫だよ!」
『それより、どうしたの?!こんなに痩せて!!』
「え?」
そう言われてみれば、ご飯、何日も食べてないや。
お茶だけ。
食欲がわかない。
改めて自分を見ると、痩せたかもしれない。
元から細身だったあたしは、ガリガリになっていた。
『ちゃんとご飯食べてるの?!』
「あ、ちょっと体調ずっと悪くて食欲わかなくて」
『そんなに悪いの?!病院行こう!今日お母さん仕事おやすみするから!』
「いや、もう大丈夫だよ(笑)もう楽になったから、ご飯もちゃんと食べるよ。ごめんね、心配かけて」
『そう…ただの夏バテだといいけど…ちゃんと食べてゆっくり寝て、良くなってね!』
「うん、ありがとう」
あたしはお母さんに笑いかけてお茶をのんで部屋に戻った。
お母さんに痩せたと言われて自分の体が気になった。
制服を着てみたけど、ブカブカになっていた。
スカートも、ベルトをしないとストンと落ちちゃうほど。
お母さんたちが仕事に行って、体重計に乗ってみた。
38kg
155cmのあたしにはちょっと痩せすぎ。
自分でもちょっとショックを受けた。
「食欲なくても食べよー。」
あたしはそのまま台所に向かい、食パンを一枚焼いた。
バターを塗って一口かじると、もうお腹いっぱいになった。
(胃が小さくなっちゃったのかな…)
無理して食パン一枚を完食した。