『一生のお願い、聞いてよ。』

「……っ」

声が出なかった。

『あれ?もう顔忘れちゃった?(笑)』


「…………」

『あのさー、返してくんない?』

「え…」

『カメラ。ビデオカメラ。あれ高かったからさー。』

「か…帰って…!」

『あ?』



アイツが、あたしを睨む。


「帰ってよ!!」


『ビデオカメラ返してくれたら帰るから返せよ』

「ビデオカメラは…ない…」


『はあ?あの男が持ってんの?』


「いや…」


怖くて顔が上げれない。

ケータイも家のなか。

警察に通報もできない。

どうしよう…


『あの男、誰?彼氏か?』


あたしをキッと睨みながら段々と強い口調になっていく。


「だ、誰のことだか…」

『はあ?!あの金髪の無駄にでけえ男だよ!!あいつも見つけたらただじゃおかねえ。』


「……………」


『あ?もしかしてお前まじでわかんねえ感じか?あん?』



きっとりょうくんのことだ。

金髪で長身だし…でも、りょうくんをこれ以上巻き込みたくない…


『黙ってねえで何とか言えよ!!』


怒鳴り声に体が震えだした。


「知りません!気が付いたら家にいたので!」


『ふーん?じゃあ何があったか教えてやろうか?』



「……………」


『何とか言えよ』



「聞きたくない!!!」


『へー?そんなに聞きたいのか、ぜーんぶ話してやるよ、耳かっぽじって聞けよ、ガキ』




いやだ、いやだ、いやだいやだいやだ


りょうくん………
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