『一生のお願い、聞いてよ。』


勇治と一緒に帰る時も、ずっとあたしは勇治にドキドキしていた。

勇治との距離が、近いようで遠く感じて、手を繋ぎたい、勇治に触れたいと思うのに、ほんの少し手を伸ばせば届く距離なのに。

届かない。




『…でさー、そのあとヨシがさぁー』



勇治が楽しそうに話すのを隣で聞くことが、こんなにも幸せなことなんて、思ってもみなかった。

人って、恋するとこんな感情なんだ。

好きだって心から思えるよ。






あたしの家につくと、また明日、カラオケ楽しんでねと手を振って勇治は帰っていった。




あたしは勇治が見えなくなるまで手を振り続け、見えなくなってから家のなかに入った。


部屋に入ってすぐにタバコに火をつけた。



「ふぅ…」


タバコを吸いながらずっと、勇治のことを考えていた。



タバコの火を消して、着替えを済ませ、カラコンも入れ、つけまもしてバッチリメイクをした。

服に合ったバッグに財布とケータイとタバコとライターを入れて、準備が終わった頃にインターホンがなった。




「はーい!」

『真央だよー!迎えきたー!』


靴を履いて玄関を開けた。


真央『えーー!めっちゃ可愛いじゃん!バリバリのギャルじゃーん!可愛いー!』

「ありがとう(笑)」



あたしは生まれつき髪が明るくて、メイクをすると、ギャルにしか見えない。

メイクがギャルメイクってのもあるかもしれないけど。

だけど、これが一番あたしらしくいられる。




真央はお母さんの車で来ていて、カラオケで待ち合わせで、真央のお母さんがカラオケまで送ってくれるみたい。


車に乗って真央のお母さんによろしくお願いしますと頭を下げた。

真央のお母さんははーい♪と優しく言ってくれた。




真央『あ!お母さん!コンビニ寄ってー!』

真央ママ『はいはーい』




車が停まったコンビニは、あのコンビニ。

りょうくんが働いているコンビニ。



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