第二話 縁結び神社 ~ひび割れ~
 それが原因なのかどうかは判らないが、最近特に酸っぱい匂いが強くなった。そう、義也の体自体が酸っぱいのだ。そのくせ、夜となったらイノシシかブタのように私の身体を貪る。お蔭で私の食欲は日に日に減退する一方・・・・

 私は義也の問い掛けに、テ―ブルに並べたロールキャベツを視線で指した。  義也は、着替えもせずにロールキャベツにマヨネーズをぶっかけた。その量の余りの多さに吐き気を覚える。だが、義也は、イノシシかブタのように貪りついた。 

 その夜、私は友達から聞いた噂を思い出した。確か、縁結び神社とか何とか言ってたが、詳しくは自分で調べてと言ってこの話は終わっていたのだ。  
 未婚ならともかく、今更縁結びでもあるまい。その時はそう思って聞き流してはいたが、何だか不思議な力がある神様って言っていたようなことをチラッとだけ思い出した。

 私は、義也との不愉快な営みを終えると、義也が寝静まったのを確認してパソコンを立ち上げた。
 縁結び神社と検索するといくつもの神社がヒットした。 

「うわっ、こんなに多いのか」

 この中から友達から聞いた神社を選りだすのは容易な事では無いだろう。下手すれば今夜は徹夜に成りかねない。私は、県内の神社に的を絞ってみた。ヒットは四件だった。 
 これで当たれば儲け物。外れたら運が無かったと思って今夜は諦めることにしよう。 

 私は、一件ずつ丁寧に見た。隅から隅までしつこいほど読んだ。
 最後の一件になった時、私は「あれっ?」と思った。 
 この神社だけ簡素過ぎる内容なのだ。
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