紫陽花ロマンス
翌朝、職場と保育所に電話をした。職場には子供の体調不良のため、保育所には昨夜の発熱と感染症のため休みますと。
光彩の熱は下がったけど、喉が腫れているからか食欲はないらしい。冷たい飲み物をあげると、気持ち良さそうに飲んでくれる。
飲み終えると抱っこをねだり、そのまますうっと眠り込む。
光彩を膝の上で抱っこして、ぼんやりとしていると私まで眠くなってくる。観ないのに点けっ放しのテレビや道路を走る車の音が頭の上を素通りしていく。
静かだった。
一日中、こうして光彩と二人で家にいるのは久しぶりかも。家事に追われることもなく、のんびりとした時間が過ぎていく。
開け放った窓から入り込んでくる風が、レースのカーテンをひらひらと揺らしている。ベランダから見上げる空は青く、澄み渡っている。
雨は降りそうにない。
最近、雨を見ていない。
梅雨明けにはまだ早いから、まだ降ると思うのに。
そういえば、大月さんにも会っていない。