紫陽花ロマンス
仕事を終えて、従業員出入口から外へ出る。
空を見上げたら、曇り空。
今にも雨が降りそうな雰囲気を、目一杯醸し出しているから納得。
大月さんが来たからだ。
雨を呼んだのは私じゃない。
と思う。
再び店内へと入ってく。今度は従業員出入口ではなく、普通の出入口から。
いつも店内を通って帰るのは、駅へと向かうのに外を歩くよりも近いからだけど今日は違う。
今日は、大月さんが待ってくれてる。
自然と足取りが速くなってしまう。さらに、胸のざわめきまでもが大きくなっている。
違う違う。これは予想が当たって、びっくりしているから胸がドキドキしているんだけなんだ。
必死に抑えようとしてるくせに、そこから目を逸らす。絶対に見てはいけないし、認めてはいけない。
そんな気持ちなんて、私は微塵も持ってないんだから。