紫陽花ロマンス


互いにアイスコーヒーを飲んだ後、顔を見合わせる。笑い出しそうになる私に、大月さんが問い掛けた。


「ちなみに、高校は?」

「北高校です、大月さんは?」


ドキドキしながら答えた。
もし、高校まで一緒だったらすごいかも。一緒だったらいいなあと思って。



私の答えを聞いた瞬間の大月さんの顔を見てわかった。高校まで一緒だったんだと。


「うわ……僕もだ、すごいなあ……」

「本当に? すごいかも……」


興奮せずにいられない。
両手で頬を包み込んだら、熱くなってる。


「大学は違うよね? 僕は学院大だけど……」

「ああ、私は女子大だから……」

「そっかあ……女子大は無理だ、残念」


大月さんが残念そうに首を振る。私も残念だった。どうせなら、大学も一緒だったらよかったのにと本気で思ってたから。


私たちはひとしきり笑い合った。
こんなに盛り上がるとは思わなかったし、ただ笑うだけなのに楽しくてたまらない。


「どうして、今まで出会わなかったんだろう」


大月さんが口にした言葉に、また胸がぐらき始める。






< 111 / 143 >

この作品をシェア

pagetop