紫陽花ロマンス
11. 心ときめく
翌日、私は仕事だったから母に光彩を小児科につれて行ってもらった。
もうすっかり元気で食欲も戻っていたから大丈夫だろうと思っていたとおり、結果は保育所に登所しても問題ないと。
そして約束通り、大月さんからの電話を待つ。約束の時間は十時。
とっくに光彩は寝て、私もお風呂に入った。携帯電話は消音して、リビングのテーブルの上に置いてある。
私はソファでスタンバイ。
十時ちょうどに携帯電話が震えた。
「もしもし、萩野さん? 大月です」
「はい、萩野です。こんばんは……」
なんだか、よそよそしくてぎこちない。一呼吸おいて、大月さんが問いかける。
「光彩ちゃんは寝た? 明日から保育所行けそう?」
「うん、もう寝た。明日から行っても大丈夫って」
「よかった……水曜日、光彩ちゃんが保育所行ってる間に二人で会えるかな?」
ちょっと待って、二人?
「でも、大月さんは平日仕事じゃないの?」
「用事で平日に休む予定があったから。午前中に用事済ませるから、午後からでもいい?」
「え、いいけど……」
「じゃあ、用事終わったら連絡するから待ってて」
大月さんは半ば強引に決めてしまったくせに、遅いからと電話を切った。何かヤられた気分。