紫陽花ロマンス
よかった。
今日は聞き分けよくテレビを観てくれている。
だけど、いつ思い出すかわからない。抱っこしてと言い出さないうちに、手早く済ませなければ。
外に出て働いているお母さんたちは、こんな時はどうしているんだろう。保育所のお母さんたちとはあまり話したことはないけど、話す機会があれば一度聞いてみたいかも。
台所兼リビングの窓からベランダへ。
上階のベランダが軒になっているのに、さっきの通り雨が吹き込んだらしい。干した時に外側になる服の肩の部分が、微妙に濡れてしまっている。窓際のカーテンレールに干しておけば、明日の朝には乾くだろう。
次は、晩ご飯の準備。
メニューは考えてあるから作るだけ。そんなに手の込んだものは作れない。光彩がお腹が空いたと言い出す前に、いかに手早く作るかが問題だ。
凝ったものを作っても、まだ食べられる年じゃない。もう少し大きくなったら、いろいろと作ってあげたいな。
「みいちゃん、ご飯だよ」
テレビを消したら、むっとした顔で光彩が振り向いた。『観てたのに』とか『消さないで』とは言わないけど、こういうところにも成長が感じられる。