紫陽花ロマンス


「萩野さん、宇部さんと一緒にお昼行ってきて」


お昼休みはチーフが声を掛けてくれる。
たいてい勤務時間が同じ宇部さんと一緒。


宇部さんは私より十歳上、小学五年生と三年生の娘二人がいる主婦で旦那さんもいる。とても家族思いの旦那さんで、休日は家族で出かけることが多いと話してくれる。理想的な家族で羨ましい。


「宇部さん、ごめんなさい。私、郵便局に行かなきゃいけないので先に食べててください」

「郵便局? どうやっていくの?」

「歩いていきます、早足で行ったら十五分ぐらいだと思うし」

「本気? 片道で二十分は掛かるでしょう? 往復して用事済ませてたらご飯食べる時間無いよ? 混んでたらどうするの?」


郵便局は霞駅の北、歩いて五分ほどの場所にある。


ショッピングモールは霞駅の南側に歩いて十分ほどだから合わせて十五分。往復で三十分あれば十分だと思っていたけど、混んでることは考えていなかった。




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