はじまりは政略結婚
彼らの電話は10分もかからずに終わり、スマホを握りしめた智紀が立ち上がったところで、慌てて部屋へ戻る。
今日は盗み見してばかりだけど、そのどちらもがあまりに驚くことで、心臓はバクバクだ。
ベッドへ潜り込み、自然と眠りにつくまでに、悶々と頭の中を巡っていたのは、涼子さんのことと里奈さんのこと。
智紀は、涼子さんの気持ちをどうするつもりなんだろう。
そして、里奈さんはどんな人で、どうしてこんな夜中に会う約束をしているんだろう。
それを考えていたら、自信がますます無くなってきた。
華やかな人たちに囲まれて、智紀は何で私を選んだのか、それがどうしても分からなくて……。
ーーー今朝は珍しくすんなり目が覚めたのは、あまり眠れなかったから。
起きると私の横には智紀の姿はなく、リビングで出勤準備をしていたのだった。
「おはよう、智紀。昨日遅かったんでしょ? 朝も早くて大変だね」
何も気にしていない振りをしながら声をかけると、智紀はジャケットを羽織りながら笑顔を覗かせた。
「どうしても不規則な仕事だからな。今夜も遅くなるから、昨日みたいに先に寝ておいて」
今日は盗み見してばかりだけど、そのどちらもがあまりに驚くことで、心臓はバクバクだ。
ベッドへ潜り込み、自然と眠りにつくまでに、悶々と頭の中を巡っていたのは、涼子さんのことと里奈さんのこと。
智紀は、涼子さんの気持ちをどうするつもりなんだろう。
そして、里奈さんはどんな人で、どうしてこんな夜中に会う約束をしているんだろう。
それを考えていたら、自信がますます無くなってきた。
華やかな人たちに囲まれて、智紀は何で私を選んだのか、それがどうしても分からなくて……。
ーーー今朝は珍しくすんなり目が覚めたのは、あまり眠れなかったから。
起きると私の横には智紀の姿はなく、リビングで出勤準備をしていたのだった。
「おはよう、智紀。昨日遅かったんでしょ? 朝も早くて大変だね」
何も気にしていない振りをしながら声をかけると、智紀はジャケットを羽織りながら笑顔を覗かせた。
「どうしても不規則な仕事だからな。今夜も遅くなるから、昨日みたいに先に寝ておいて」