はじまりは政略結婚
自分の出勤風景は、通勤手段が変わったこと以外、何も変化はしていない。
異動もとりたてて無く、周りの環境は同じなのに、その足取りが軽く感じられるのは、智紀と生活を一緒にするようになってから。
今朝のやり取りの余韻が、仕事を始めてからも未だに続いていた。
「ねえ、由香ちゃん。悪いんだけど、買い足しを頼んでいい? 急ぎの業務をかかえていて……」
売り上げの資料作成を作り終えたタイミングで、竹内さんが申し訳なさそうに聞いてきた。
「大丈夫ですよ。ちょうどひと段落したところなので」
ニコッと微笑むと、竹内さんは表情を明るくして、引き出しからクリアファイルを取り出すと差し出してきた。
「本屋で、ここに書かれてる本を買ってきて欲しいの。雑誌やら新書やら6冊あるんだけど……」
「分かりました。駅前の本屋なら揃いますから、あっちへ行きますね」
ざっと目を通しファイルをカバンにしまうと、それを手に取る。
竹内さんは、顔の前で両手を合わせると、申し訳なさそうな笑顔で言ったのだった。
「よろしくね、由香ちゃん。今度の会議資料作成の参考にしたくて」
異動もとりたてて無く、周りの環境は同じなのに、その足取りが軽く感じられるのは、智紀と生活を一緒にするようになってから。
今朝のやり取りの余韻が、仕事を始めてからも未だに続いていた。
「ねえ、由香ちゃん。悪いんだけど、買い足しを頼んでいい? 急ぎの業務をかかえていて……」
売り上げの資料作成を作り終えたタイミングで、竹内さんが申し訳なさそうに聞いてきた。
「大丈夫ですよ。ちょうどひと段落したところなので」
ニコッと微笑むと、竹内さんは表情を明るくして、引き出しからクリアファイルを取り出すと差し出してきた。
「本屋で、ここに書かれてる本を買ってきて欲しいの。雑誌やら新書やら6冊あるんだけど……」
「分かりました。駅前の本屋なら揃いますから、あっちへ行きますね」
ざっと目を通しファイルをカバンにしまうと、それを手に取る。
竹内さんは、顔の前で両手を合わせると、申し訳なさそうな笑顔で言ったのだった。
「よろしくね、由香ちゃん。今度の会議資料作成の参考にしたくて」