はじまりは政略結婚
オフィスを出るとちょうど昼前で、高層ビルの隙間から見える青空に心はますます踊り出しそうだった。
仕事をしていても、智紀にキスをされたことや、ギュッと抱きしめられたことを思い出してしまい、顔がニヤけそうになる……。
「違う、違う! なんでニヤけなきゃいけないのよ。それに心が踊り出すとか……」
オフィス街を駅前に向かって歩きながらつい口に出していると、後ろから久しぶりの声が私を呼び止めた。
「由香」
振り向くと、そこには兄がいて、目を細めて笑顔を向けている。
相変わらずスーツを品良く着こなしていて、どうやら外回りをしていたらしい。
副社長といっても、一営業マンのごとく現場でコツコツ動く兄は、いつまでも尊敬する人だ。
「お兄ちゃん! 偶然ね。外回り?」
すっかり顔を合わせる機会が減っていたこともあり、思わず飛びつきそうになる。
けれど、涼子さんと智紀のことを思い出してしまい、それは出来なかったのだった。
仕事をしていても、智紀にキスをされたことや、ギュッと抱きしめられたことを思い出してしまい、顔がニヤけそうになる……。
「違う、違う! なんでニヤけなきゃいけないのよ。それに心が踊り出すとか……」
オフィス街を駅前に向かって歩きながらつい口に出していると、後ろから久しぶりの声が私を呼び止めた。
「由香」
振り向くと、そこには兄がいて、目を細めて笑顔を向けている。
相変わらずスーツを品良く着こなしていて、どうやら外回りをしていたらしい。
副社長といっても、一営業マンのごとく現場でコツコツ動く兄は、いつまでも尊敬する人だ。
「お兄ちゃん! 偶然ね。外回り?」
すっかり顔を合わせる機会が減っていたこともあり、思わず飛びつきそうになる。
けれど、涼子さんと智紀のことを思い出してしまい、それは出来なかったのだった。