はじまりは政略結婚

兄が開いたページは、最後の方の見開きで、そこには『次号、緊急の海里特別企画！ 海里がロスから帰国！ 』と書かれていた。

そして一ページ分、堂々と片手を腰に当てた彼の姿が載っている。

水色のシャツに薄いグレーのチノパンを合わせ、サスペンダーを無造作に垂らしていた。

栗色の髪は短めに切られていて、手ぐしで整えたように、自然な感じでスタイリングされている。

クッキリとした二重の目、通った鼻筋に程よい厚みの唇。

口角をあげて自信たっぷりの笑顔は、確かに付き合っていた頃と変わっていなかった。

「海里、帰国するってこと？」

驚きで目を丸くする私に、兄は小さく頷く。

「正確には、もう帰国しているらしい。それも、オレが手に入れた情報では、お前たちの婚約報道を知ってから、急きょ帰国を決めたらしいぞ？」

複雑な表情を浮かべられて、こちらも途端に青くなった。

「待ってよ。それって、意図的にってこと？ だとしても何で……？ 私をフッたのは海里の方なのに」