はじまりは政略結婚
結局、イカは一つを二人で分けて食べることにした。
初めて食べた智紀には思いのほか美味しかったらしく、「何でも食べてみるもんだな」と言っていて、思わず笑ってしまった。
その後はひと気のない浜辺へ向かい、海風に当たりながら、穏やかに押し寄せる波を見ている。
すると、智紀はポツリと呟くように言ったのだった。
「夫婦に見えるんだな、オレたち」
やっぱり彼もあの言葉は意識している様で、私も思い出して恥ずかしさが込み上げてきた。
「うん……。でも、美男美女ってことはないよね? 智紀はともかく、私は美女って感じじゃないから」
これが涼子さんや里奈さんなら、彼に釣り合う絵図になるんだろうと、またも卑屈な考えになる。
苦笑いを浮かべる私に、智紀は口角を上げてニッと微笑んだ。
「そう思ってるのは自分だけだよ。由香は、もう少し自分に自信を持った方がいい」
「自信……? 私が、どんなところを?」
聞き返さずにはいられず問いかけると、智紀は私の左手に指を絡ませた。
初めて食べた智紀には思いのほか美味しかったらしく、「何でも食べてみるもんだな」と言っていて、思わず笑ってしまった。
その後はひと気のない浜辺へ向かい、海風に当たりながら、穏やかに押し寄せる波を見ている。
すると、智紀はポツリと呟くように言ったのだった。
「夫婦に見えるんだな、オレたち」
やっぱり彼もあの言葉は意識している様で、私も思い出して恥ずかしさが込み上げてきた。
「うん……。でも、美男美女ってことはないよね? 智紀はともかく、私は美女って感じじゃないから」
これが涼子さんや里奈さんなら、彼に釣り合う絵図になるんだろうと、またも卑屈な考えになる。
苦笑いを浮かべる私に、智紀は口角を上げてニッと微笑んだ。
「そう思ってるのは自分だけだよ。由香は、もう少し自分に自信を持った方がいい」
「自信……? 私が、どんなところを?」
聞き返さずにはいられず問いかけると、智紀は私の左手に指を絡ませた。