はじまりは政略結婚
すると智紀は立ち止まり、苦笑いで振り向くと手を差し出したのだった。
「ごめん、気が焦って足早になってた。由香のちょこちょこ歩くのは好きだって言ったけど、今は一緒に歩きたいよな」
「智紀……」
胸がいっぱいになり、彼の手に自分の手を重ねる。
温かいこの手を、私だけのものにしたいと初めて思ってしまった。
そして車に乗り込むとすぐに、智紀はエンジンをかけ、アクセルを踏み込む。
さっきは私の為に足を止めてくれたけど、本音はかなり急いでいるみたいだ。
「一体、何があったの?」
運転が少し荒っぽくなり、ちょっと怖く感じるくらいだった。
「それが、さっきの電話は涼子のマネージャーからだったんだけど、撮影でトラブルがあって」
「涼子さん? まさか、ケガでもしたとか?」
その名前が出てきてドキッとすると同時に、複雑な思いが込み上げてくる。
純粋に彼女を心配する気持ちと、仕事とはいえこんなに急いでテレビ局へ向かう智紀の姿に……嫉妬してしまっていた。
「ごめん、気が焦って足早になってた。由香のちょこちょこ歩くのは好きだって言ったけど、今は一緒に歩きたいよな」
「智紀……」
胸がいっぱいになり、彼の手に自分の手を重ねる。
温かいこの手を、私だけのものにしたいと初めて思ってしまった。
そして車に乗り込むとすぐに、智紀はエンジンをかけ、アクセルを踏み込む。
さっきは私の為に足を止めてくれたけど、本音はかなり急いでいるみたいだ。
「一体、何があったの?」
運転が少し荒っぽくなり、ちょっと怖く感じるくらいだった。
「それが、さっきの電話は涼子のマネージャーからだったんだけど、撮影でトラブルがあって」
「涼子さん? まさか、ケガでもしたとか?」
その名前が出てきてドキッとすると同時に、複雑な思いが込み上げてくる。
純粋に彼女を心配する気持ちと、仕事とはいえこんなに急いでテレビ局へ向かう智紀の姿に……嫉妬してしまっていた。