はじまりは政略結婚
「いや、そういうわけじゃないよ。今日は雑誌の撮影なんだけど、露出の高さを要求してるらしくてさ。あのカメラマン、そろそろ出入り禁にするかな」
ハンドルを握りながら、智紀はブツブツ言っている。
かなり頭にきているみたいで、「涼子はそんなタイプじゃないのに」と、眉間にシワを寄せて呟いていた。
そんな彼を横目で見ていると、心がヤキモチの渦で締め付けられてくる。
困った時に助けに来てくれる智紀を、涼子さんが好きになってしまうのも分からなくはないけど……。
一体、いつから好きなのか、そして兄のことを本当はどう思っているのか、それを考えると頭が混乱しそうだ。
エアコンから吹く風に乗って香る芳香剤を匂いながら、ふと涼子さんがそれを嫌いなことを思い出した。
「ねえ、智紀。涼子さんも、この車に乗ったことある?」
「ん? ああ、あるよ。仕事場に送っていくことが、たまにあるからな」
そう聞いて、思い込み過ぎかもしれないと自覚しながら、彼女の芳香剤嫌いは、もしかしたら智紀を連想させるからじゃないかと、思えて仕方なかった。
ハンドルを握りながら、智紀はブツブツ言っている。
かなり頭にきているみたいで、「涼子はそんなタイプじゃないのに」と、眉間にシワを寄せて呟いていた。
そんな彼を横目で見ていると、心がヤキモチの渦で締め付けられてくる。
困った時に助けに来てくれる智紀を、涼子さんが好きになってしまうのも分からなくはないけど……。
一体、いつから好きなのか、そして兄のことを本当はどう思っているのか、それを考えると頭が混乱しそうだ。
エアコンから吹く風に乗って香る芳香剤を匂いながら、ふと涼子さんがそれを嫌いなことを思い出した。
「ねえ、智紀。涼子さんも、この車に乗ったことある?」
「ん? ああ、あるよ。仕事場に送っていくことが、たまにあるからな」
そう聞いて、思い込み過ぎかもしれないと自覚しながら、彼女の芳香剤嫌いは、もしかしたら智紀を連想させるからじゃないかと、思えて仕方なかった。