はじまりは政略結婚
「すいません……。ジッと見ちゃって、失礼でしたよね」
苦笑いで誤魔化す私を、桜さんはクリッとした目で見つめた。
「私から言わせてもらえば、百瀬さんの方が珍しいです。だって、あの百瀬副社長の妹さんで、嶋谷副社長のご婚約者だなんて、絵に描いたようたようなお姫様みたいな方ですもん」
「お、お姫様ですか⁉︎」
初めて言われただけでなく、私よりキレイな人から言われたのだから、戸惑うばかりだ。
「そうですよ。社長令嬢だなんて、羨ましい」
目をキラキラさせて満面の笑みを浮かべる桜さんに、私はやっぱり苦笑いしか出来ない。
私には、『社長令嬢』という肩書きがどうしてもついてまわるけど、そこに自分自身が置き去りにされている気がして、この言葉は好きじゃなかった。
「あの、じゃあ私はこれで……」
テレビでしか見たことのない人との会話は、思う以上に疲れる。
早々と立ち去ろうとすると、桜さんが呼び止めてきた。
「あ、百瀬さん。嶋谷副社長には、これからたくさんお世話になるので、どうぞよろしくお願いします。でも、変な誤解はしないでくださいね。私は副社長推しじゃなくて、海里推しなので」
苦笑いで誤魔化す私を、桜さんはクリッとした目で見つめた。
「私から言わせてもらえば、百瀬さんの方が珍しいです。だって、あの百瀬副社長の妹さんで、嶋谷副社長のご婚約者だなんて、絵に描いたようたようなお姫様みたいな方ですもん」
「お、お姫様ですか⁉︎」
初めて言われただけでなく、私よりキレイな人から言われたのだから、戸惑うばかりだ。
「そうですよ。社長令嬢だなんて、羨ましい」
目をキラキラさせて満面の笑みを浮かべる桜さんに、私はやっぱり苦笑いしか出来ない。
私には、『社長令嬢』という肩書きがどうしてもついてまわるけど、そこに自分自身が置き去りにされている気がして、この言葉は好きじゃなかった。
「あの、じゃあ私はこれで……」
テレビでしか見たことのない人との会話は、思う以上に疲れる。
早々と立ち去ろうとすると、桜さんが呼び止めてきた。
「あ、百瀬さん。嶋谷副社長には、これからたくさんお世話になるので、どうぞよろしくお願いします。でも、変な誤解はしないでくださいね。私は副社長推しじゃなくて、海里推しなので」