はじまりは政略結婚
「ええっ⁉︎」

まさかもう、私たちが恋人同士だったことを突き止めたの?

あからさまな動揺を見せる私に、智紀はさらに顔を近付けて、眉間に深くシワを作った。

「図星なんだろ? やっぱり、由香もファンだったか」

わざとらしくため息をついた智紀は、ソファーにぐったりと座り込んだ。

「ファン?」

てっきり過去を知られたのかと思ったけれど、違うみたいでホッとする。

と同時に、なんのことを言っているのか分からず首を傾げた。

そして彼の隣にゆっくり座ると、恨めしそうに見つめられたのだった。

「今日、うちの局で海里がゲスト出演する番組の収録があったろ? それを見てたから遅くなったんだと思ったんだけど、違うのか?」

「し、知らない。そうだったの?」

なんていう怖い偶然だろう。

あの局のどこかのスタジオに海里がいたなんて、驚きで心臓がバクバクする。
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