はじまりは政略結婚
だから、たとえ罪悪感を感じていても、海里と会ったことは秘密にしておかなければ……。

もう一度彼の胸に顔を埋めると、私の背中を撫でていた手が、ブラのホックをいとも簡単に外したのだった。

「と、智紀?」

少し戸惑いながらチラッと見上げると、口角を少し上げた智紀が、軽く唇を重ねた。

「もっとキスしてって、由香が言ったろ? だから、もっとキスしたい。唇以外にも……」

そう言って手際良く服を脱がせた智紀は、私を軽く抱き上げるとベッドへ寝かせた。

髪型を変えたせいか、私を見下ろす彼の雰囲気が違って見える。

より一層、愛おしく感じるような……。

「似合ってるね、智紀。どんなヘアスタイルでも、カッコイイ」

素直にそう言うと、智紀は照れ臭そうに微笑んだ。

「ありがとう、由香。お前も、誰より一番可愛いよ」

その後智紀にキスをされ、私たちは甘い夢の世界へ落ちていったのだった。
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