はじまりは政略結婚
海里の脅迫
一泊二日の別荘での時間は、思わぬ真実にたどり着いて、気もそぞろだった。

だけど、それを智紀たちに勘付かれてはいけない。

笑顔で兄たちと別れると、いつもの毎日に戻る。

そして私は、さっそく決心したことを実行することに決めたのだった。

週明けの仕事が終わり、さっそく海里に電話をかけてみる。

すると、タイミング良く仕事の空きがあったらしく、海里を呼び出すことに成功したのだった。

「よお、由香が呼び出してくれたと思ったら、ホテルのレストランの個室か。厳重な警戒態勢だな」

以前会った時と同じく、ニット帽とサングラス姿だけど、マスクはしていない。

だから、表情がよく分かる。

ニヤッとした笑いを浮かべて、私の向かいに座った。

「ここは、著名人御用達のお店だから。守秘義務も守ってくれるから、ここにしたの。それより、単刀直入に言うわ。あの写真、ネガごと返して」
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