はじまりは政略結婚
呆れて言葉が出てこず、ア然とするだけだ。

あれだけ言ったことを覚えていない……?

私は、それが心の傷になっていたのに。

「終わったことだしさ、由香ももう気にするなよ。別に、本気で言ったわけじゃないと思う。それより……」

人のトラウマを簡単に流そうとする海里に、私の中で緊張の糸が切れた。

「あなたとは、まるで感覚が違うみたいね。別れて正解だった。一緒にいたって、絶対に幸せになれないもの。さあ、早くネガを返して! 持ってるんでしょ?」

最後の方は、ほとんど叫び声になっていたと思う。

だけどそれだけ、海里への怒りばかりが大きくなっていた。

すると彼も、目を鋭くさせ表情を一変させた。

「あのな、由香。嶋谷は、裏ではかなり卑怯なことをやってるんだ。オレの所属する事務所から、めぼしいモデルを引き抜いて、事務所の存続を危うくさせているんだぞ?」

「だから?」
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